【経験者が語る】デニムとは

何度もトレンドがやって来る、日本人の大好きなデニムとジーンズについてお話しします。

デニムとジーンズの違い
デニム繊維企業と日本の関係
デニムの原点
価値のあるデニム
セルビッチ赤耳とかの話
ジーンズの良さ
アメリカのジーンズブランドと投資
デニムとジーンズまとめ

【経験者が語る】デニムとは

デニムとジーンズの違い

デニム=素材
ジーンズ=パンツ
これだけです。

これ以外の内容として、今更ウンチクを並べるつもりはありません。
しかし、それでは説明にも何にもなりませんので、私の経験から様々なデニムとジーンズに出会った事をお話します。

日本の岡山県児島と言う場所で、日本製のジーンズが作られている事はご存知だと思います。
では、世界で最も有名なデニム産地は「広島県」と言う事もご存知だと思います。
そう、世界一のデニムを作る企業カイハラ株式会社です。

ここで生産されるデニムは、世界中のジーンズブランドはもとより、ファッションブランドがデニムと聞いて必ず指を指す企業です。
何故そこまで有名なのかと言うのはHPのヒストリーをご覧ください、私から説明するのもおこがましいです。

私自身、アメリカでジーンズブランドに携わっていた頃、そこまでジーンズやデニムについて詳しくもありませんでした。しかし、アメリカのジーンズブランドのデザイナー達がこぞって、デニムについて話すと必ず話題になる名前が、「Kaihara is No1」です。
そして次に言われるのが「OKAYAMA」と言う地名です。

デニム繊維企業と日本の関係

私がこのトヨタの車の画像を、デニムの説明に上げた理由を理解出来る方は、相当デニムとジーンズについて詳しい方と思います。

この自動車トヨタグループの創業者は、豊田喜一郎氏、そして、その父は、豊田佐吉氏です。
実はこの佐吉氏が最初に発明したのは、繊維を織る「織機」です。
機械を止めずによこ糸を自動的に補充する最初の自働杼換(ひがえ)装置を発明し、それを装備した世界初の無停止杼換式自動織機(豊田式鉄製自動織機(T式))を製作した。(出典:株式会社豊田自動織機HPより)
この物作りの考え方と発明の哲学を受け継いだ豊田喜一郎氏が、後にトヨタ自動車を発展させて行きます。
そして、この佐吉氏のおかげでと言っても過言ではないのですが、日本の繊維業は飛躍的に成長しまし、その精密に24時間稼働する機械は今でも日本はもちろん、世界中で使用されています。

デニムの原点

私は、リーバイスのデニム生地を1915年から作ったアメリカの工場、ホワイトオーク、CONE MILLSに行って、工場を見学させてもらった事があります。有名な木、ホワイトオークは確かにありました。
何故行けたかと言うと、その当時、コーンデニム生地を使ってMade in USAジーンズを復活させたいと言うデザイナーが居て、「見学出来るよ」と軽く言われましたので、ノースカロライナ州グリーンズボロまで行きました。

グリーンズボロは、本当に小さな町ですが、ジーンズのラングラー社もあり、まさにジーンズの町と言った感じです。
コーンミルズでは、日産の織機を使っていた事を覚えていますが、トヨタ製も使用されていて、実に日本との関係が興味深い関係だと思いました。

かつてこのコーンミルズは、一つの町を形成していました。当時1915年、リーバイス社がミルズ社でデニム生産する事になり、敷地内に、5つの村を建設しました。全体の名前はProximity Denim Mills and Village(プロキシミティデニムミルズアンドビレッジ)
これらの村には、教会、学校、球場、コミュニティセンター、企業の店舗が含まれていました。1940年代後半に会社が家を(時には労働者に)販売し始めるまで、何千人もの労働者とその家族がこれらの「町の中の町」で生活を送っていました。(当時の工場長談)その場所の1つの村の名前とされていたのが、ホワイトオーク村と言う名前だったそうで、工場の入口付近に一本の木があり、それがホワイトオーク(樫の木)で、そこで記念撮影したのを覚えています。

プロキシミティデニムミルズアンドビレッジ

セルビッチ赤耳とかの話

色々なブログで書かれているので、ここでこの話はあまりしたくないのですが、実際、コーンミルズに行ってその当時の工場長に聞いた話なので、本当だろうと思うのですが、別の解釈を受けてる方からすると、それは違うとか言われてもそう聞いているので返事のしようがない事ご理解頂きご覧ください。

このデニム生地の横についている、日本では通称「赤耳」(あかみみ)アメリカでは「Selvedge」(セルビッヂ)と呼ばれ、ブログの多くに書かれているのが、「効率が悪い織機で織られた素材で高級」とか「生地をギリギリまで使う為に」とか「旧織機で作られているので貴重」とか書かれていますが、この「旧織機」と言われる小さな織機を実際このコーンミルズで見てきました。ここに行った理由の一つにこの1918年頃に稼働していた織機が数十台見つかり、それを稼働させて生地を作ると言う話を聞いたからでもあります。

要するに、リーバース501が最初にセルビッヂと言われる赤い赤いステッチの入ったデニムを生産した織機だったからでです。もうそれは博物館に行くような物です。

実際使用されていた織機

そして、工場内を綿花から生地が出来るまで約1時間ほど案内され最後の、デニムが出荷される場所に行った時に、私はこれがセルビッヂの本当の由来である事だと確信しています。

左:デニム生地を巻く芯官 右:完成したデニム生地のロール

この上の写真はデニム生地が完成した時のデニムロールです。
当時、働く人達の殆んどが黒人だったそうで、言葉を話せても、字が読めない人も居たそうです。
そして、リーバイス社と提携した後、ラングラー社やLEE社でも、ここで生地を生産していたと聞いています。
となりに、ラングラー社があるのも納得出来ました。
当時、毎日かなりのロール数を指定の縫製工場に出荷していたそうですが、このロールをトラックに乗せて出荷する際、ロールには白いペンで行き先が書いてあったのですが、字読めない人達がどうやって行き先を分けていたのか?
と言う疑問が湧きました。
その時、私はある推測をし、この工場長に聞いてみました。

セルビッヂの色と納品先

RED→リーバイス
BLUE→リー
YELLOW→ラングラー

もしかして、このセルビッヂの色を見れば、何処に出荷するか誰でも理解出来る。
と、思い工場長に直ぐ質問。
工場長曰く、当時から色々な意味を持って作っているのは事実、と前置きされ、当然出荷量も多かったので、確かに出荷先を示すに為にも使用していた事は事実あると言って教えてくれました。

まず、これは非常に理にかなっている話だと私は理解しています。
実際、赤い糸を織り込んで、何の得にもならない事、手間がかかる事、しかも、戦時中の忙しいさなか、量産する為に何故わざわざ生産効率を下げる必要があるのか?何十万ヤードも生産しているロールを間違わずに出荷出来ると思いますか?
しかも、全てブル―です。
ちょっとでもロールに書き損じたり、出荷シートを貼り間違ったりすると、とんでもない間違いになりますよね。

しかも、この織機、ご覧になると分かりますが、シャトル(横糸を飛ばすケース)が木製です。
機械の調子が悪くなる事も多々あり、本当に非効率な織機です。

何処の、何を作る工場でも、その製品を製造をする上でも、出荷をする上でも、何処の何ががどのくらい生産出来ているか、何か問題があっても、誰もが何処の何が問題なのか、全員が単純に理解出来る生産システムの一つがセルビッヂであり、非常に効率よく考えられている生産システムの一環であり、これは今の生産工場にも同じようにバーコードでも品番でも付けるのと同じ理屈であると思います。

しかし、デニムやジーンズに詳しい方とこの話をすると、やはり、伝説的に思われている方が多く、どうしても神話として思っていたいと感じる方が多いので、あえて「それは違いますよ」とは言いませんが、これは私が実際にこの場所に行って聞いて来た、実体験での話なので、私はそう考えているだけだと思って下さい。

価値のあるデニム

実は、このコーンミルズ社は2017年12月で工場を封鎖しましたがまた別の買い手が現れ、現在も会社は残っていますが工場は売られました。フットボール競技場になると言う内容記事がありました。
ただ、それまで、何度となく買収されたりしていたので、この初期型の織機は、工場内の物が色々な人手に渡ってしまい、この旧型も廃品業者から再度買い取った物だと聞きました。

Vidalia Mills

Vidalia Mills ヴィダリアミルズはルイジアナ州にある繊維製造会社です。
ここでもコーンミルズの織機と同じ物を、廃品業者から探し集め、ここでコーンミルズと同じデニムを製造する事が可能になりました。

彼らの目的は、質の高いデニムを製造する事を目的として、デニム以外の主にコットン素材の糸や生地を製造販売しています。
価値のあるデニムはこの様な背景があり、歴史を感じます。

ジーンズの良さ

女性の方はあまり素材について気にされないと思いますが、男性は割とこだわる方が多いですよね。
ジーンズは、ファッションの素材の中でとても面白いアイテムです。
ジーンズは、新しいデニム素材を使って作りますが、出来上がった物を過去に戻すと言う、考えてみると訳が分からない事をしています。

ダメージと言う加工で、裾を切りっぱなしにしたり、穴を空けたり、石と一緒に洗ったり。
普通の素材を使った洋服ではそんな事しないのですが、何故かジーンズに限り、それを行わないとサマにならないです。
生、と言われる何も加工しないデニムで作ったジーンズもありますが、それはあえて自分で履き潰しながらダメージを時間をかけて行い、日が経過するにつれ、味が出ると言って好む方もいますが、これも結果的に古くする事を良しとする考えです。

ファッションアイテムの中で唯一、新品を一旦過去に戻し、新たなトレンドを作るのが、ジーンズの良さだと私は思っています。

アメリカのジーンズブランドと投資

ジーンズが生まれた国、アメリカでもジーンズブランドは毎シーズン新たに出てきます。
日本でもかなりのブランド数があり、実は、岡山県児島にあるジーンズの縫製工場では、工場独自のファクトリーブランドを殆どの工場が持っています。
あまり世に出ませんが、どの工場も縫製サンプルとして作った物をそのままブランドにして置いてあると言う感じです。販売は、量産している訳ではないので、在庫があれば売ってくれる所もあります。

話を戻して、アメリカのジーンズブランドについて、気付いている方もいると思いますが、日本以外の国ではファッション企業は、投資の対象です。
日本ではあまり浸透していませんが、世界では投資の対象としてファッションブランドが存在します。

その為、前回ご紹介した海外仕入れの展示会には、バイヤー、プレス業界関係者はもちろん来場していますが、投資家も来場しています。直接コンタクトを取りませんが、投資家に話を持ち込むファイナンシャルディストロニューターの様な人がウロウロしています。私の担当していたジーンズブランドのデザイナーから直接話を聞きましたし、その場に居合わせた事もあります。

2005年の頃、アメリカのファションはジーンズ一色と言って良いぐらい、何処もかしこもジーンズブランドを開発していました。もちろんヨーロッパへも進出していて、ある程度影響を与えていました。
その時、無名のブランドが1年足らずで急激に成長するブランドがあり、MAGICSHOWのブースが突如巨大化する検証が数多くのブランドで見られました。
今ではそれ程ファッションブランドに投資を考えている投資家は少ないと思いますが、それでもブランドに投資する人は少なくないです。
日本では、自分の子供の様にブランドを成長させますが、海外では、売る対象となっています。
この体質と考え方が、日本は世界に出て行くブランドが少ないのでは無いかと私は考えています。

デニムとジーンズまとめ

ジーンズは、世界中で愛されるファッションアイテムの一つです。
安い物から高い物までありますが、比較的どの価格でもジーンズを履く事でファッションとなるポイントが決まります。
また、デニムの素材を使用した他のアイテムもまた、デニム素材によってその商品価値自体が変化します。

これ程まで重点を置かれるアイテムはデニム、ジーンズ以外にあまりないのでは無いのではないでしょうか。
また、一度トレンドから外れても、またジーンズのトレンドが戻って来るのも一つの特徴です。
一つは気に入った物があり、履けば履くほど価値がある様に感じられるデニム、ファッションには欠かせないですね。